【最新】手話通訳士への手引き「試験内容から逆算します」
- 手話通訳士という資格について知りたい
- 手話通訳士の仕事内容を知りたい
- 手話通訳士になる方法を探している
- 手話通訳士の試験内容が知りたい
- 手話通訳士の給与面が知りたい
これらの疑問や悩みについて答えます。
こんにちは、ヒサノリです。
この記事では、手話通訳士に関する説明や手話通訳士になるための道筋を解説します。
手話通訳士(資格をもって手話通訳などをするプロ)の試験内容、目指す方法、仕事内容などをシンプルにまとめました。
これから手話通訳士を目指したい人には特に有益な情報だと思います。
この記事を書いている僕は、学生時代に手話サークルに所属していました。
手話の言語性に惚れ、手話の自由さと美しさに感動。それから独学して現在は日常会話レベルまで到達しました。詳しくはこちらをどうぞ。
では、手話通訳士について見ていきましょう!
本記事の目次
手話通訳士への手引き
先に結論を言うと、手話通訳士になるには試験内容を把握してから学習方法を選ぶと道筋が見えやすくなります。
必須条件の試験合格に焦点を当てることで、自然と学習方法の選定や業務理解も進めることができます。
なので、まず手話通訳士の試験について解説していきます!
試験内容の把握
試験内容は毎回ほぼ以下のように決まっています。
- 受験資格:20歳以上(受験日を含んだ年度末までに20歳になる人も含む)
- 受験料 :22,000円(2021年時点)
- 試験日 :年に1回のみ(学科・実技で2日間)
- 会場 :宮城、埼玉、東京、大阪、熊本
- 試験内容:以下の通り
学科試験内容
学科試験 | 内容 |
前半(90分)四肢択一式 | ・障害者福祉の基礎知識 (障害者支援に関する法律・制度・理念など)・聴覚障害者に関する基礎知識 (聞こえの程度・コミュニケーション方法など) |
後半(90分)四肢択一式 | ・手話通訳のあり方 (異文化理解・倫理観など)・国語 (文構造の知識・敬語など) |
実技試験内容
実技試験 | 内容 |
個室で個別に実施 | ・聞き取り通訳 (音声での出題を手話で答える)・読み取り通訳 (手話での出題を音声で答える)[採点ポイント]・通訳の正確さ ・表現力・声の調子やトーン ・早さ・視線の動き ・態度や所作 など |
※試験の詳細:社会福祉法人聴力障害者情報文化センターのHP
※内容が変わる可能性もあるので、自分で一度は確認してください
※参考文献
・手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)結果
・平成31年『手話通訳士について -手話通訳実態調査から見えるもの-』
上記のデータを見ると、だいたい毎年の合格率は10%前後です。そして手話の通訳経験(またはそれに近い経験)は平均で10年必要という結果にもなっています。
試験は障害者などへの知識だけでなく、実践的な内容が盛り込まれているので難易度は高めです。なので、これらを見据えた学習を行っていくことが重要になります。
学習方法の選択
手話学習の方法は主に5つあります。
- 大学や専門学校
- 手話教室
- 自治体等の講座やサークル
- 通信講座
- 独学
ただ、選択肢が多いと決めるのも大変かなと思うので、以下にポイントをまとめました。
1つずつ短めに説明しておきます。
大学や専門学校
お金と時間に余裕がある人は一番手っ取り早いかもしれません。参考までに手話通訳士の教育を行っている学校をピックアップしておきます。
●東京都
日本福祉教育専門学校(社会福祉学科手話通訳コース)
●埼玉県
国立障害者リハビリテーションセンター学院(手話通訳学科)
●群馬県
国立大学法人群馬大学(手話サポーター養成プロジェクト室)
他にも色々学校はありますが、通訳士レベルの教育内容ではない所もあるので注意してください。
手話教室
教育方法などにこだわりがある人はありですね。オンラインで学べる所も増えているので、学習しやすい環境は比較的整っていると思います。
おすすめの手話教室を知りたい人は、以下の記事が参考になると思います。
【日本全国】手話教室大全「望む手話教室への手引き」
日本の手話教室について解説。自分の理想とする手話教室を探すことができます。日本全国の手話教室を厳選してリスト化しており、選定基準・事前準備なども解説。手話教室に興味を抱いている人は特に必見です。
自治体等の講座やサークル
地元で学びたい、コストを抑えたい人にはおすすめです。
資格取得者の中には講座やサークルから学習を始めた人も多いとデータに出ています。地元で良さげなものを見つけたら応募するのがいいかもしれません。
ただし、年齢などの参加条件がある所が多いです。そこだけは注意してください!
通信講座
仕事を続けながら学習したい人は向いているかもしれません。
自由に自分の時間をカスタマイズできるので、始めるにあたってのハードルが低いです。誰でもとっかかりやすいかなと。
手話の通信講座はいくつかありますが、ユーキャンが有名で学習しやすいかなと思います!
独学
すでにある程度手話に慣れている人ならありかもしれません。
経験者でかつ自分なりに対策ができる人は問題ないかもしれませんが、手話の初心者はやめた方がいいかなと。
試験合格者の傾向を見ると、あまりおすすめできる学習方法ではないかなと思われます…。
手話通訳士の業務理解
仕事内容
試験内容と学習方法が決まったら、手話通訳士の業務について理解を深めておきましょう。
手話通訳士は主に手話通訳が仕事ですが、以下のようにシチュエーションごとで求められる役割も少し違ってきます。
- 政見放送などのメディアで手話通訳
- 大学などの学校で手話通訳
- ろう学校などの職員
- 手話教室などでの手話指導
- 自治体や施設などの聴覚障害者向け窓口対応
- 企業等での聴覚障害に関するセミナー開催や手話指導
仕事場所は主に以下のような所があります。
- 行政機関
- 聴覚障害者団体
- 学校
- 情報施設
- 老人ホーム
- 保健施設
- 手話教室
- 店舗
- 一般企業
これらに共通しているのは、手話通訳士は「手話を使って人同士の架け橋になる業務を行っている」ということ。
つまり、人同士のコミュニケーションをサポートするプロというわけです。
就業状況
現状、手話通訳士として働いている人はあまり多いとは言えません。
その証拠となるデータがこちら。
▷ 平成31年『手話通訳士について -手話通訳実態調査から見えるもの-』
このデータを見ると、回答した1326人の手話通訳士のうち、通訳士の資格を活かして働いている人は約35%です。
つまり、多くの資格所持者は通訳士の資格を活かした仕事をしていません。
資格を活かした仕事に就いていない理由も見ると、手話通訳士として最前線の現場で働く人は一握りだと思われます。
給料
先ほどのデータで手話通訳士の給料を見ると、平均で約16万円です。
資格を活かした仕事に就いていない理由の上位に「生活ができない」があることを考慮すると、あまり高い数字とは言い難いかも。
実際、他の資格取得や仕事をしている人も一定数いるようです。
僕が経験した手話通訳士の素晴らしさ
ここまでのデータで、手話通訳士に対してネガティブな印象をもった人もいるかもしれません。ただ、手話通訳士はとても素晴らしい仕事であることは間違いないです。
以前、僕が経験したとある手話通訳士さんとのエピソードを1つ紹介します。
とあるブースで手話で質問をしていたら、通訳士さんがスッと来て手話で相手の話し言葉を通訳してくれたという経験です。
困っていそうな人の元に自然と足を運ぶ姿勢がかっこよかった!
手話通訳士になるということは、人との架け橋になるということであると気づいた瞬間でした。今も鮮明に記憶に残っています。
このように、手話通訳士は通訳以外にも業務は色々あります。しかし「手話通訳の道を極めたい」「通訳のプロとして働きたい」という人は、ぜひ目指してほしい価値のある資格であると僕は思います!
事前準備
最後に、今後の手話学習において使えるツールを用意しておくことをおすすめします。
例えば、以下の書籍が便利です。僕も愛用しています。
図解で見やすいので試験合格後もずっと使い続けられます。資格への学習時間はそれなりに必要ですし、自習をする際に不明点などを調べられるので重宝すると思います。
ぜひ、これらと共に手話通訳士への合格を目指してみてください!